筋膜リリースってどういうもの?
綺麗になるためには、軽やかに動けるしなやかな体が必要ですよね。けれど体の筋肉が凝り固まっていては、女性らしい動きが制限されてしまいます。しなやかな体のためには、しなやかな筋肉が欠かせません。
それなのに、毎日の仕事で筋肉がガチガチ……という人も多いはず。そんな人たちの筋肉をほぐす方法として最近注目されているのが、筋膜リリースです。テレビや雑誌などで、「筋膜リリース」という名前を見かけたことはありませんか?
いったい筋膜リリースとは、どういうものなのでしょうか?
そもそも筋膜って何?
筋肉は知っているけど「筋膜」は初めて聞いた、という人も多いのではないでしょうか?
筋膜とは、筋肉を覆っているコラーゲン組織のことを言います。皮膚のすぐ下にあり、体全体をウェットスーツのように覆っていて、「組織を支える第二の骨格」と呼ばれています。
筋膜の役割は?
筋膜が果たしている役割は、
- 筋肉を支え、正しい姿勢を保つ
- 組織と組織の間を仕切りながら結びつける
- 組織を摩擦から保護する
の3つ。
体にとって大事な役割を果たしている筋膜ですが、とても柔らかく、引っ付いて癒着(ゆちゃく)を起こしやすいという特徴も持っています。
癒着が起こっていると、凝りや痛みの原因に……。筋肉を支えきれずに、姿勢が歪む原因にもなります。
この筋膜の癒着を引き剥がすことを、筋膜リリースと呼びます。「筋膜はがし」と呼ばれることもあります。
筋膜リリースの効果って?
筋膜リリースを行うことで、
- 癒着してしまった筋膜をほぐし、萎縮している筋膜を元の状態に戻す
- 筋肉の柔軟性を取り戻して、関節の可動域を広げる
ことができるんです。だから筋膜リリースは、疲れた体のマッサージや運動前のストレッチに有効です。
痛んでいる場所の周辺からほぐし、トリガーポイントをなくす
筋膜は身体中つながっているので、アプローチの仕方が独特です。ひどい肩こりがある場合、普通のマッサージでは肩を揉みほぐすところ、筋膜リリースでは脇の下をほぐして肩こりをやわらげます。
腰に痛みがある場合は、腰の上や太もも、お尻からほぐします。周辺からほぐしていくので、痛みがあっても加減しながら行うことができます。
こういった「痛みの原因になっている凝り」のことを、トリガーポイントと呼びます。痛みが出ている部分ではなく、原因になる凝りなので「トリガー」なんです。筋膜リリースでは、トリガーポイントを解消することで、根本的な痛みの原因を取り除くことができます。
体をほぐし、運動のパフォーマンスを上げる
筋肉の柔軟性を取り戻すことは、女性らしいしなやかな体作りに直結しています。筋膜は、それ自体が動くものではありません。運動することによって適度に伸び縮みするので、運動不足になると固まりやすくなります。
筋膜が固まったままだとトリガーポイントができ、それだけで凝りや痛みが出るのはもちろん、筋肉がうまく使えずに怪我の元になることも……。
だから筋膜リリースは、怪我予防として運動前のストレッチにも使われています。関節の可動域を広げてくれるので、ウォーミングアップとしての効果も。
リンパや血液の流れを良くして、ダイエットの効率を上げる
筋肉が固まるのは、リンパや血液の流れが滞っている証拠。固まったトリガーポイントに筋膜リリースで刺激を与えることで、滞りを解消できます。
リンパや血液の流れが良くなれば、運動効率が高まってカロリー消費が捗ると考えられますね。凝り固まった体でダイエットを行うより、流れがスムーズな状態で運動をした方がダイエットの効果が出やすいものです。
表情筋をほぐして、顔の悩みを解消
顔のしわ、しみ、たるみを解消するためには表情筋を鍛えなきゃ!と、顔の体操や舌の運動をしている人がいるかもしれません。けれど表情筋のこわばりをほぐすには、顔だけでは足りないんです。
まず筋膜リリースによって姿勢を正して肩こりを解消することで、表情筋につながる筋膜までをしっかり柔らかくできます。
そして顔にも筋膜リリースが効きます。手の平で行う頬、目尻、側頭部の筋膜リリースを数週間続けると、しわ、しみ、たるみの予防と解消ができます。
フォームローラーの選び方
筋膜リリースは、場所によって手の平やボール、巻いたタオルなどを使います。けれど本格的に行うなら、フォームローラーと呼ばれる専用の道具を使いましょう。
フォームローラーにはいくつか種類があって、それぞれ
- 表面のデコボコの形(グリッド)
- 固さ
- 太さと長さ
が違います。
特に重要なのは、グリッドと呼ばれる格子状の表面。グリッドは人の手を模した作りになっていて、手技でマッサージをされるような効果を得ることができます。この効果は、ボールやタオルでは得られません。
固さは、筋膜リリースをする時の痛みに関係があります。固いほど痛みが強くなりますが、痛いほど効くわけではないので、終わった後の体の心地良さで選びましょう。
太さと長さは、使う部位によって適切なサイズが違います。首に効く小さめサイズでは太ももがリリースしにくいなど、どれか1つで全部をリリースするのは難しいもの。
まずは、あなたが一番リリースしたい場所に合わせてフォームローラーを用意してください。物足りなく感じるようになったら、必要なものを買い足して。
筋膜リリースのやり方
それでは、具体的な筋膜リリースのやり方について説明します。
肩こりに効く筋膜リリース
肩こり解消のためにリリースしたい筋肉は、特にワキ。
- 床に横向きに寝転がる
- 下側の腕は伸ばし、上側の腕でフォームローラーを操作する
- 胸の横と床でフォームローラーを挟む
- 両膝は揃えて、軽く曲げる
- フォームローラーを3~4cmずつ動かして、ワキまでほぐす
腰痛に効く筋膜リリース
腰痛を解消する筋膜リリースは、ぎっくり腰の予防にも効果があります。
- あお向けになって、骨盤の少し上と床でフォームローラーを挟む
- 両腕を上に伸ばし、全身の体重をフォームローラーに預ける
- 脚は伸ばしても曲げてもOK
- 余裕があれば、膝を交互に交差させる。上半身はひねらずに
表情筋に効く筋膜リリース
顔のように小さな部位は、手の平だけで筋膜リリースを行いましょう。ほほの筋膜リリースでは、ほうれい線を予防でき老け顔防止につながります。
- 背中を伸ばして座り、あごを引く
- 口角の横から手の平をあてて、ほほ全体を包み込む
- 両方のほほを、手の平全体を使って斜め上に引き上げる
- ゆっくり30秒数える。これを3セット
気をつけるべき点は?
筋膜リリースは他にも、足の裏やふくらはぎ、二の腕などに行えます。筋膜は全身に張り巡らされているので、全身に行うことができるんですね。
筋膜リリースをする時に気をつけておきたいのは、次の3点です。
- リラックスするべき時間には行わない…痛みを感じるので、寝る前などリラックスタイムには不向き。できれば起床後か運動前に行いましょう。
- 体調が良くない時は行わない…妊娠中の女性、または糖尿病、骨粗しょう症、高血圧、静脈瘤などを患っている人は、筋膜リリースは行わないように。
- ゆっくり深呼吸しながら行う…筋膜リリースは、筋肉の深くまで圧をかけます。早く行うより、深呼吸しながらゆっくり行った方が効果が高くなります。