生理痛の仕組みと種類
女性が味わう月に一度の辛い時期……、それが生理ですよね。思春期に初潮が始まってから更年期に閉経するまでの平均35~40年間付き合うものですが、同時に辛い生理痛に苦しんでいる女性が多くいます。
子宮内膜の表面がはがれ落ち、子宮が収縮することによって起こる生理。その収縮や骨盤内のうっ血によって、痛みをともないます。体内の変化があるため下腹部痛や腰痛などを感じる人が多く、ひどい日には寝込んでしまうことも……。
生理痛と一言に言っても、人によって症状は違います。また月によって痛みの程度や、感じる辛さが違うことも。生理痛のことを月経困難症とも言います。
- 下腹部痛
- 腰痛、頭痛
- 吐き気、腹痛(下痢)など胃腸の不調
- イライラ、憂鬱
- 貧血
毎月に数日間寝込んだり、腹痛に耐えたりするのはとても大変ですよね。ここでは、生理痛をやわらげるために自分でできる対策と、生理痛の注意点についてお伝えします。
生理痛をやわらげるには?
どうしても我慢できないほど痛い……そういう時にすぐ対処できる、生理痛をやわらげる方法にはどういうものがあるでしょうか?
下腹部痛、腰痛、腹痛
生理痛が起こった場所は、血行が悪くなっている可能性があります。まずは温めてみましょう。貼るカイロやホットタオルを活用して。
痛みで辛い時には休むことも重要です。体を丸めて横になると楽になります。体を温める飲み物を飲んで、ゆっくりと休みましょう。ストレスを感じないように、少しくらいは仕事もお休みできると理想的。どうしても職場に行く場合は、体を冷やさないように一枚多く羽織っていきましょう。
生理痛は我慢すればよくなるというものではありません。痛みを感じ始めた段階で市販の痛み止め(鎮静剤)を飲めば、悪化を防ぐことができます。ただ、毎月必ず薬が必要なくらい痛いのであれば、婦人科で痛み止めの薬を処方してもらったほうが安心です。
貧血
体のだるさ疲れやすさ、めまいなどを引き起こすのが、生理にともなう貧血です。顔色が悪くなったり、爪が割れてしまったりすることもあります。経血によって鉄分を失ってしまうのは仕方がないとしても、できるだけ補うようにしましょう。ダイエットは中断して、しっかりご飯を食べてくださいね。
ナプキンの不快感
痛み以外にも生理中の悩みの種になるのが、ナプキンによる不快感・蒸れ・かゆみです。できるだけ清潔に保つことはもちろんですが、蒸れが気になるならナプキンを変えてみるのもおすすめ。多くの経血を受け止めてくれるナプキンは、機能性を重視するゆえに化学物質が多用されています。それを肌から吸収してしまうことで、生理痛がひどくなるという説もあるんです。
市販されているナプキンを紙ナプキンと呼ぶのに対して、体に優しいものをノン・ケミカルナプキンを呼びます。代表的なのは、コットン素材で作られた布ナプキン。化学物質が使われていないので蒸れにくく、冷えを防止します。結果として生理痛が軽くなったという経験談も多いので、試してみて損はないでしょう。婦人科で勧められることも多いようです。
布ナプキンは洗うのが面倒そう……と思う人は、生理中に一日だけ取り入れたり、普通のナプキンでもシートにコットンを使っているナプキンに変えたりしましょう。ナプキンによるメリットとデメリットを知り、体にいいものを選ぶことが大切です。
日常生活で気をつけたいこと
辛い生理痛は数日で治まりますが、できれば考えておきたいのが生理痛の予防。生活習慣の改善やセルフケアによってできるだけ生理痛を予防できるように、日常から気をつけていきましょう。
栄養を摂る
貧血を予防するためには、毎日3食バランスの良い食事を摂ることが不可欠。特に女性の貧血は、ダイエットや偏食によって鉄分不足になって起こりやすいとされています。日頃から栄養が足りていないと鉄欠乏性貧血がゆっくりと進行していき、自分では症状に気が付きにくいことも。
鉄分を補給するために取り入れたい食品は、ひじき、昆布、のり、レバーなど。大豆製品や貝類、緑黄色野菜にも鉄分が多く含まれています。品目の多い和定食を食べるといいでしょう。
温める
生理痛が辛い時にも温めることが有効ですが、日頃から体を冷やさないようにすることで生理痛を予防することができます。体の血行をよくすれば、自律神経が整うことも期待できます。
毎日入浴して体を温める習慣を持ち、できるだけ冷房で体を冷やさない、冷たい飲み物を飲みすぎないなど注意してくださいね。血行をよくするためにはストレッチや軽い運動が効果的。筋肉をつけて基礎体温が高くなれば、ダイエット効果も期待できて一石二鳥です。
骨盤が歪まないように
生理によって骨盤が開閉する時に、歪みがあるとうまく開閉できずに痛みが出ることがあります。体のバランスをよくするために、日頃から姿勢に気をつけて骨盤が歪まないよう心がけましょう。
横座りをする、足を組む、片方の肩にばかりバッグをかけるというクセがある人は、注意が必要です。
生理痛がひどい時の注意
悪いことばかりのように思われている生理痛ですが、私たちの体の異常を伝えてくれるという役割を担っています。毎月寝込んでしまう、薬を飲んでも効かないほどの痛みがある場合は、もしかしたら子宮内膜症、子宮筋腫などの病気が隠れているのかもしれません。
次のような症状がある場合は、婦人科に行って相談してみましょう。
年々生理痛がひどくなっている
昔はそうでもなかったのに、歳を重ねるにつれて痛みが増してきた……そんな人は生理中ではない時から排便痛や性交痛、腹痛を感じたりすることもあるようです。この場合に疑われるのが、子宮内膜症。
また、卵巣は2つあって交互に排卵しています。そのため隔月で生理痛が重いという人は、片方の卵巣に異常があることも考えられます。
経血の量が増えてきた
痛みもそうですが、経血の量が増えてきた時にも注意が必要です。多い日用のナプキンを規定時間内に替えていても、タンポンを併用しても経血が漏れてしまう場合には、月経過多症が疑われます。この月経過多は、子宮筋腫の特徴でもあります。レバーのようなかたまりが見られる、生理じゃないのに出血があるなどの症状もあれば、必ずお医者にかかるようにしましょう。
毎月必ず付き合わなければならない生理ですが、私たちの体に欠かせない大切な機能でもあります。憂鬱な気分にならずに過ごせるように、しっかり知識を持って痛みをやわらげたいものですね。